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旅するごはん 第2話 ポムナムルのビビンバ

ポムナムルのビビンバ

ふきのとう、うど、のびる、たらの芽、ふき、筍…
寒い冬を越えて、地面からぽこぽこと顔を出す。
やっと来た春が嬉しくて、つぎつぎと。

嬉しいのは人間も。
どれもとってすぐには口にできないものばかりの山菜たち。
アクを抜くために茹でこぼしたり、指先を染めながら筋をとったり。
食べるために、ひと手間もふた手間もかけられるのは
春の訪れを待っていたからじゃないかな、と思うのです。

私もそんな一人です。
祖母の好物だった蕗。
店頭に並び始めると我慢できず、ぽいっと籠の中へ。
いそいそと台所へ向かい下ごしらえ。
ざくっざくっと切り、板ずりをし、湯の中へ入れると、見る見るうちにきれいな翡翠色に。
そうそう、こんなに手間暇かけてご飯を作ってくれていたのね!と改めて母に感謝したのは蕗の煮物を教わったときでした。
それからは、忘れないように毎年欠かさず作っています。

今回の旅するごはんは「ポムナムルのビビンパ」
ポムは春。ナムルはおなじみ野菜のあえ物のほか、食用の草や葉、野菜そのもののことも意味するようです。

春の芽吹きが訪れると、韓国の市場はヨモギやセリ、ナズナなどの春菜でにぎわいます。
韓国の人も楽しみにしていると聞く、それらを使ったポムナムル。
春がやってくのが嬉しいのは、お隣でも同じですね。

セリ、三つ葉、芽キャベツにエンドウ。もちろん蕗もしのばせて、ビビンパを作りました。
山菜や春野菜特有のほろ苦さや、やさしい甘みはナムルにとっても合います。
今だけの旬のナムルを贅沢に楽しみましょう。

*春野菜でデトックス 春野菜特有の苦みの正体は、植物性アルカロイド。腎臓の濾過機能を上げ、解毒を促します。
ほかにも、高い抗酸化力をもつビタミン・マンガン・カロテン・亜鉛などが豊富に含まれ、
冬の間に溜め込まれた老廃物をせっせと体外へ排出する手助けをしてくれます。

春の息吹とともに、ひとの身体も目覚める春。
その季節に必要としている栄養分をたっぷりと含む旬の野菜を、上手においしく取り入れていきたいですね。

華表 由夏(とりい ゆか)

MUSEUM Cafe&diner オーナー

夏生まれ。
好きなことは
本をめくること
創造すること 考えること

全国各地の郷土料理や、世界の家庭料理を探検中。

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