質の良い「陰」を持つために、腎を守ることは、身体面のお話だけではありません。中医学の五行説は、人を身体だけでなく、感情、精神、心を持つ個体と捉えるので、心の「陰」も大切にします。従って、「陰」を持つライフスタイルは、身体の健康維持だけではなくて、心の在り方や人生をより良くするための基礎となるのです。

「陰」は変化の最大の可能性

陰陽を表す太極図によると、「陰が極まれば、陽に転ずる」とされます。陽は輝く元気な様を表しています。人生の成功とか、仕事などの達成とか、私たちがゴールにするものを指すこともあります。大事な要点は、蓄えたり、集めたりする質を持つ「陰」の営みがない限り、いつまでも大きく飛躍することが出来ないということです。
ガソリンを補給していない車は、どんなに性能のいい車でもスピードあげて走ることができません。人も同じです。そして、人は身体だけでなく、心も宿していることを忘れてはいけません。だから、心の在り方を無視した暮らしは有り得ません。陰ヨガは、その特徴から、「心のガソリン・栄養を与えている。」と言っても過言ではありません。どんなに地位が高く優秀な人だとしても、心のガソリン・栄養、つまり心が満ち足りることがなかったら、人生という車を走り切ることができないと思うのです。

静止と満ち足りた暮らし

心の栄養は、“静かに止まること“で与えられます。静止する様は、「陰」が持つ性質から生まれます。「陰」とは、深く満ちたりた感覚を持つことです。例えば、深い睡眠をとった朝は、身体も心も元気になっていて、エネルギーが満ち足りた感覚があるでしょう。だから、体力もあり精神も前向きな気持ちでいられます。満ち足りた感覚を持ちながら暮らすことで、人は自然に幸せを掴んでいくのだと思います。

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