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<女性のための陰ヨガ>

Junostyleでは『女性のための陰ヨガ講座』を、昨年の秋頃から連続シリーズで開催しています。陰ヨガはその性質から、女性の身体バランスを整えるのに適していると思います。

女性の生理は「陰」が基本

活動の「陽」と休息の「陰」のバランスにおいて、女性は陰の不足をできるだけしたくない身体の持ち主です。いや、もっとはっきり言えば、陰の不足は厳禁です。それくらい女性にとって大事なことです。

休息を取ることを誤解している方も多いかもしれませんが、「休息=無駄なこと」ではありません。むしろ、積極的に成長を促したり、前進するための基本です。

女性の身体は、子宮があり妊娠や出産が可能な身体です。その女性特有の身体には、休息、潤い、落ち着き、静けさがとても大切なのです。全て、「陰の働き」です。陰を持ってこそのバランスなのです。妊娠力も陰の力ですから、妊娠を望んでいる方は、ご自身の身体の陰陽バランスを見直してみることも大切かもしれません。

睡眠は、「陰の働き」の最も代表的な行為です。女性に限らず健康維持の要ですが、日本人は睡眠負債が多いと言われています。全般的に休息が不足しているなど、陰陽バランスが大きく崩れた私たちの現代のライフスタイルは、少しずつでも改善していく必要があります。陰ヨガは、確実にその役割を担っていると思います。陰ヨガの先生たちの出番ですね。

陰ヨガの先生方からヒアリングをすると、年齢の高い生徒さんを教えている先生が多いようです。私の生徒さんも60代の方もいらっしゃいますが、私は、“呼吸とリラックス”をテーマにシークエンスを組み立てています。参加者さんの身体に合わせたシークエンスとポーズのバリエーションを作ります。対面クラスの場合は、丁寧にアジャストもしています。特に、肩凝りや背中の凝りが著しい生徒さんに向けては、この2つのテーマが最重要事項として、睡眠力向上を試みています。ただし、身体の強張り以上に心の強張りがあるとなかなか身体が解れてくれません。そんな生徒さんには、マインドフルネス瞑想も勧めています。

女性の先天は肝(かん)

『女性の先天は肝』と言われるように、女性の身体は「血(けつ)」を大切にするべき性質を持っています。血は、気血水において、陰の働きをもっています。女性には月経があることから想像しやすいと思いますが、血は女性が生涯お付き合いをしていく大事な身体の構成要素です。この血が1日の仕事を終えて、きれいに浄化され、保存されるのが肝なのですが、この作業がなされる時は睡眠中です。だから、女性の健康を考えた時、睡眠をしっかり取るという養生を強調したいのです。
経絡(けいらく)の時間からすると、23時には熟睡していたいとされています。23時に熟睡は難しいとは思いますが、1週間に数日は努力できる日があるかもしれません。自分のライフスタイルとの折り合いをつけて、多少の規律を持つ努力も必要なのかもしれません。

何もしないことが「陰」を養う

陰ヨガよりマインドフルネス瞑想のクラスにおいて顕著ですが、何もしないことは簡単ではないようです。確かに、陰ヨガを長く続けている人の多くは、瞑想にすんなり入りやすい傾向がありますが、陰ヨギでも、最初は、なかなか1日20分座ることが難しい人も少なくありません。ただ、何もせずに、起きていることを観察しているだけなのに。

「何もしないこと」は、時間の無駄だと誤解されている方も多いかもしれません。しかし、陰陽理論を深く理解している方なら気がつくと思いますが、この世の全てにものには、コインの裏表があるように、陰の側面と陽の側面があります。「何もしないこと」からしか生まれないものもあるわけです。例えば、直感力とか洞察力といったものがわかりやすい例です。

瞑想に親しめば親しむほど理解が進む領域ですが、散漫な雑念に気づき、手放し、「今」に意識が落ち着かない限り、直感とか洞察とかいった力に辿り着くことは不可能です。ヨガは洞察を磨くものと言われることがありますが、頭が思考していたり、前進する要素ばかりのヨガをしていては辿り着けない境地です。一方、フワッとしたり、ぼーっとするのとは違います。ある種の興奮を伴った至福の感覚とも違います。

それは、落ち着いていて、冷静で、冷却されている様子がある状況です。きっと、呼吸と身体が自然に動くようになるまでプラクティスを重ねた人しか辿りつけない境地でしょう。おそらく、その時が来たら、思考や感情といった散漫な雑念が手放され、身体は静かに姿勢よく座る方向に落ち着いてくるのではないでしょうか。動きたいばかりのヨガは、もしかして未熟なヨガなのかもしれません。

「何もしないこと」は、身体をリラックスさせることも大切な要素ではありますが、もっと重要なことは、心を休ませる行為であることです。本当の意味で心が休まない限り、究極的な「陰」を体現することは不可能ではないかと思います。心が休んでいるか否かは、5分だけでもマインドフルネス瞑想するとわかります。ただし、落ち着いてない人は、自分が落ち着いてないことさえも気がついてないので(“気づきたくない”というプライドが邪魔していることも!)、「5分間、静かに座れました!」というのですが、これを仏教では無知と言います。よっぽどできた人でない限り、最初は誰もが通る道ではないでしょうか。だからこそ、マインドフルネス瞑想のプラクティスが大切なのです。

皆さんの生活には「陰」は満ちていますか?
そうでないなら、まずは陰ヨガから始めてみませんか。「何もしないこと」をしてみましょう。

  • *Junostyleは、全米ヨガアライアンス認定スクールです。RYT200とRYT500の両資格の取得が可能であり、ヨガから瞑想までトータルで学べるヨガスクールです。特に、陰ヨガがメインとなりますが、ヨガを通して精神や心の質を高めることに注力しています。(詳細は>>>こちら
  • *過去のワークショップを一定期間視聴できます。見逃した方、まとめて学習やプラクティスをしたい方におすすめです。詳細等は、オンデマンド〈見逃し配信〉をご覧ください。

若林純子

株式会社ジュノスタイル代表取締役。陰(いん)ヨガ指導者。
Junostyle~自分らしい自然なライフスタイルを探す旅~というコンセプトのもと、陰ヨガ、アロマセラピー、食を通して「陰(いん)のあるライフスタイル」を提案。
とくに、女性のライフスタイルのバランスを追求し、日本全国やアジアで陰ヨガのワークショップを行っている。講師養成にも積極的に取り組んでいる。
全米ヨガアライアンス認定講師・英国IFA認定アロマセラピスト。
若林純子のブログ:https://junostyle.jp/ownerblog/