<陽のクロージング:土の五行との関係>
落ち着きと静寂さを培うための手順があるとしたら、おそらく、まずは身体から静止することを学ぶのがスタートでしょう。身体という実際に目に見えて、感じることができる物理的なものから始めるのがわかりやすいからです。ヨガスートラにある八支則(悟りへの八段階)を見ると、身体を使って行うアーサナが3番目にあるのは頷けます。
「陽のクロージング」というテーマで、コラムを書いて来ましたが、このコラムでは陰ヨガのアーサナと陰ヨガの元になっている陰陽五行理論についてお話しします。
陰ヨガは、とても深みのあるヨガです。「アーサナを静止して行うヨガ」という他に、そのポーズの組み立て方には、陰陽五行や経絡の理論を組み合わせることもできます。特に、私がワークショップやカルチャースクールの1day講座などでご紹介しているのが、陰陽五行論を元にした「季節の陰ヨガ」です。陰陽理論は、天地自然の法則ですので、季節ごとに心身を見直すために、陰ヨガを実践することは、とても理にかなっていると思います。
陰陽五行論は、漢方や鍼灸、薬膳で使用される理論です。鍼灸なら経絡とツボをメインに適用するなど、それぞれ適用する部分が異なるとは思いますが、私は、落ち着きや静寂さを培う陰ヨガの実践が、皆さんの生活スタイル、健康維持のための生活習慣を始め、自分自身の生き方や在り方を振り返るきっかけとなったり、より自分にも周りにも心を開いていくプロセスの土台となったらいいなと思っています。
私は、夏から秋にかけての季節に「陽のクロージング」の話をすることが多いです。何故なら、五行説でいうと、土の五行がその役割を担っているからです。夏から秋に移動する時期は、陽から陰へ移行する時です。この季節の変わり目に何を大事に生活したらいいかというと、まさに「陽のクロージング」なのです。
陰陽五行説は、季節ごとに五行を配当し、実際の養生方法も教えてくれます。この夏から秋への移行期間は、土用とか長夏と呼ばれますが、五行でいうと土の五行に当たります。土の五行に属する五臓は、脾と胃で、消化器です。つまり、夏バテなどで不調になりやすい消化器を労わることが、この時期のやるべき養生となるわけです。例えば、氷の入った冷たいものを飲まない、暴飲暴食を控えるなどは代表的な夏の養生法です。
季節の陰ヨガ講座〈夏編〉では、脾・胃の経絡を意識して、ヨガを組み立ててプラクティスの実践をします。時に、関連したツボを紹介したり、「梅雨や夏に起きやすいむくみには、ハトムギがお勧めですよ。」など薬膳の観点から情報をシェアしたりしています。
これらは、すべて「陽のクロージング」のためのヒントです。秋に陰への移行がスムーズに行われるためには、まずは陽を減らしていくことが大切なのです。
陰ヨガを実践することで、付随する理論にも興味が湧いて勉強する方も多いようです。Junostyle主催の陰ヨガの養成講座〈五行シリーズ〉(旧・経絡シリーズ)を受講してから、薬膳などの知識を学ばれている講師の方も少なくありません。皆さんぞれぞれの地域でワークショップなどを開催されているのをSNSでよく拝見します。
陽過多だなと感じる人は、是非、陰ヨガから実践してみませんか。落ち着きや静寂さが足りないと感じている方にもお勧めです。
- *「zoomによるオンラインレギュラークラス」の詳細は、Junostyleのウェブサイトをご覧ください。
- *Junostyleは、全米ヨガアライアンス認定スクールです。RYT200とRYT500の両資格の取得が可能であり、ヨガから瞑想までトータルで学べるヨガスクールです。特に、陰ヨガがメインとなりますが、ヨガを通して精神や心の質を高めることに注力しています。(詳細は>>>こちら)
- *その他講座の詳細等は、ワークショップのお知らせ欄をご覧ください。
- *過去のワークショップを一定期間視聴できます。見逃した方、まとめて学習やプラクティスをしたい方におすすめです。詳細等は、オンデマンド〈見逃し配信〉をご覧ください。
若林純子
株式会社ジュノスタイル代表取締役。陰(いん)ヨガ指導者。
Junostyle~自分らしい自然なライフスタイルを探す旅~というコンセプトのもと、陰ヨガ、アロマセラピー、食を通して「陰(いん)のあるライフスタイル」を提案。
とくに、女性のライフスタイルのバランスを追求し、日本全国やアジアで陰ヨガのワークショップを行っている。講師養成にも積極的に取り組んでいる。
全米ヨガアライアンス認定講師・英国IFA認定アロマセラピスト。
若林純子のブログ:https://junostyle.jp/ownerblog/
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新潟日報カルチャースクール・メディアシップ教室にて、ワンデー講座「ゆるめるヨガ 陰ヨガ」シリーズを展開しています。